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七夕さんの始まり
日期:2019-06-18   浏览:4919   关闭 打印

昔々、ある所に、焙烙売りがいました。

前有一个地方,有一个卖砂锅的人。

 

焙烙売りというのは、土で作ったフライパンの様な物です。

所谓砂锅,就是用土做成的平底煎锅模样的锅。

 

ある年の七月、焙烙売りが山道を通りかかると、娘たちが湖で水浴びをしていました。ふと見ると、目の前に美しい着物がおいてあります。「ああっ、何てきれいな着物なんだろう。」焙烙売りはその着物がほしくなり、その中の一枚を素早くカゴに入れて、何くわぬの顔で通りすぎていきました。

有一年的七月,卖砂锅的人在山中赶路时,看见一群姑娘们正在湖里洗澡。他忽然看见眼前放着美丽的和服,心想:“啊呀!多么漂亮的和服啊!”卖砂锅的人想要那和服,就迅速地拿了其中一件放进篮子里,然后若无其事地走开了。

 

とこるが夕方、仕事を終えた焙烙売りがそこへ戻ってくると、一人の美しい娘がシクシクと泣いているのです。「ははん。さては、わしに着物を取られた娘だな。」焙烙売りはそのまま通り過ぎようとしましたが、娘の着物を盗んだという罪の意識もあったので、娘に自分の着物を着せてやると、家に連れて帰りました。

然而到了黄昏时分,卖砂锅的人干完活返回来时,发现一位美丽的姑娘正在那儿抽泣。“哦?可能是被我拿了和服的那个姑娘吧。”卖砂锅的人心想,他原本想就这样走过去,可是他又对偷了姑娘的和服心存愧疚,所以让姑娘穿上自己的衣服,把她带回了家。

 

さてこの娘、見れば見るほど美人です。焙烙売りはこの娘が好きになり、自分のお嫁さんにしました。やがて子供が生まれて、親三人は仲良く暮らしていました。

这个姑娘真是越看越美丽。卖砂锅的人渐渐喜欢上了这位姑娘,于是便娶她为妻。过了不久,她生下了小孩,一家三人过着其乐融融的日子。

 

ある日の事です。焙烙売りが仕事に出かけた後、お嫁さんが子供を寝かせながら、ふと天井を見てみると、何やら油紙に包んだ物があります。「あら、何の包みかしら?」お嫁さんが包みを開いてみると、中には盗た着物が入っていました。「あっ!これはわたしの着物!きっと、あの人が盗んだに違いないわ。許さない!」お嫁さんはその着物を素早く着ると、子供を抱えて空へ昇ろうとしました。

有,卖砂锅的人出去干活后,妻子在哄孩子睡觉时,不经意地看了一眼天花板,她发现有一个用油纸(保存物品时用的日本纸)包着的东西。“咦?里面包的是什么呢?”妻子一边想一边打开包裹看,里面正是自己那件被盗的和服。“啊呀!这是我的衣服!定,一定是他偷的。我决不原谅他!”妻子连忙穿上那件和服,抱着孩子想往天上飞。

 

そこへ、焙烙売りが帰ってきたのです。一目で全てを悟った焙烙売りは、お嫁さんに手をついて謝りました。「ま、待ってくれ!わたしが悪かった。だから待ってくれ!」「いいえ!私は天の国へ戻ります!あなたに着物を取られて、しかたなくお嫁さんになりましたが、わたしはもともと天女です。」

就在此时,卖砂锅的人回来了。他一看就明白了一切,他跪在地上向妻子道歉:“请等一等!是我错了。请等等我,别走!”卖砂锅的一边哀求一边拉住妻子。“不!我要回到天上!因为你偷了我的和服,我没办法回到天上,才做了你的妻子,但我原本是天上的仙女。”妻子执意要上天。

 

「すまない!謝る!今までに何度も返そうと思ったが、お前がどこかへ行てしまうのではないかと心配で、返すに返せなかったんだ」「言い訳は聞きません。さようなら!」

“对不起!我向你道歉。在此之前我几次想把和服还给你。但又担心你会走掉,较终还是没有还给你。”男人道歉道。“我不想听你辩解。再见吧!”妻子说。

 

「頼む!何でもする。どんな償いでもする。だから、わたしをおいていかないでくれ!」必死に謝る男の姿に、心を打たれたのお嫁さんは、「…では、も本当にわたしが大切なら、本当にわたしに会いたいのなら、わらじを千足作って、天に昇ってきなさい。そうすれば親子三人、今まで通り暮らす事ができるでしょ。」と言うと、お嫁さんは子とともに、天高く昇っていってしまいました。

 男人哀求道:“求你了。无论让我做什么,怎么补偿都行。但就是不要把我一个人留下!”看到丈夫拼命道歉的样子,妻子也被打动了。她说:“那么,若你认为我真的很重要,真的很想见我,你就做一千双草鞋,再来天上找我吧。到时我们一家三口就能像从前那样一起生活了。”说完,妻子就带着孩子一起高高地飞上了。

 

わらじを千足だな。よし、作ってやる!」焙烙売りはお嫁さんに会いたい一心で、毎日毎日、朝から晩までご飯も食べずに、わらじを作りました。何日もかかって、やっと九百九十九足のわらじができました。「よし、あと一足だ。あと一足で、あいつと子供に会えるんだ。」そう思うと、焙烙売りは我慢できなくなり、一足たりないまま外へ飛び出すと、天に向かって、「おーい、早く迎えに来てくれー!」と、叫びました。

“一千双草鞋。好!我马上就做。”卖砂锅的人一心想见妻子每天从早到晚,连饭都不吃,一直忙着做草鞋。花了好几天时间他终于做好了九百九十九双草鞋。“太好了!就差一双了,再做一双,就能见到我老婆和孩子了。”想着想着,卖砂锅的人再也忍不住了。还差一双鞋没做完,他就跑到外面,对着天空大喊:“喂!你快点儿来接我吧!”

 

すると天から、ひと塊りの雲が降りてきました。焙烙売りがその雲に乗ると、雲は上へ上へと昇っていきました。ところがわらじが一足たりないため、あと少しの所で天の国へ着くというのに、それっきり雲が動かなくなりました。「あっ、あなた、本当に来てくれたのね。」天女は一生懸命に手を振っている焙烙売りを見つけると、機織りの棒を下へ伸ばしました。焙烙売りはその棒に掴まり、何とか雲の上に出るこできたのです。

这时,从天边飘下来一朵云。卖砂锅的人就坐在那朵云上,云彩不断地往上飘呀飘。可是,因为还差一双草鞋,就在还差一点距离就要到达天庭时,云彩不动了。“啊!你真的来了。”仙女看到了丈夫正一个劲地朝她招手,就把织布棒往下伸。卖砂锅的人一把抓住那织布棒,勉强地爬到了天上。

 

さて、天女の家にはお爺さんとお婆さんがいて、赤ちやんの守りをしています。「この人が、この子のお父さんです。」天女は焙烙売りを、二人の前に連れていきました。でも二人は怖い顔で、焙烙売りを睨みました。何とかして、焙烙売りを追い返そうと考えていたのです。そこで焙烙売りにザルを渡して、それで水を汲んでくるように言いました。

话说仙女的家里有老爷爷和老奶奶,他们正在看孩子。“这人就是孩子的父亲。”仙女把卖砂锅的人带到了两位老人跟前。但是,两位老人看似很凶,眼睛死死地瞪着卖砂锅的。他们心想:一定要想办法赶走这家伙。于是,两位老人递给卖砂锅的一个竹篓,让他去打水。

 

穴のたくさん開いたザルでは、水を汲んでくろことができません。焙烙売りが困っていると、お嫁さんはザルに油紙を敷いてくれました。焙烙売りはそれに水を汲んで、二人のところへ持っていきました。「うむ間にしてはなかなか知恵がある。褒美に、このウリをやろう。横に切って食べろ。」そう言って、お爺さんは焙烙売りに大きなウリをくれました。

用有很多洞的竹篓去打水是不可能的。卖砂锅的人正在为难时妻子用油纸铺在竹篓的上面。于是,卖砂锅的用它打水,端到了两位老人面前。“你还是相当有智慧的嘛。作为奖赏,给你这个瓜。你要把这个瓜横着切开吃。”说着,老爷爷就给了卖砂锅的人一个大瓜。

 

天の国では、ウリを縦に切って食べます。もし横に切ったら、水がどんどん出てきて止まらなくなるのです。そんな事とは知らない焙烙売りが、ウリを横に切ったから大変です。切りロから水が噴き出して止まらなくなり、焙烙売りは天の川に流されて、どんどん遠くへ行ってしまいました。

在天上,要竖着切瓜。因为如果横着切的话,水会汩汩地流个不停。卖砂锅的不知道这点,他横着把瓜切开了,这下可糟糕了。喷涌的水从切口不停地往外流,卖砂锅的人被天河冲走了,一下子被冲得很远很远。

 

それを見て、お嫁さんが叫びました。「あなたーっ、父母を説得して、月に一度、水の流れを止めてもらいます。毎月の七日に会いに来てください。」ところが焙烙売りは、水の流れの音のために聞き違えて、「よし、分かった。毎年の七月七日だな。」と言って、そのまま流されてしまいました。

见到此景,妻子喊着说:“相公,我会说服父母亲,让他们一个月让水流停止一次,那我们每个月的七日来相会吧!”然而卖砂锅的人因为水流声太大听错了,回答道:“好!知道了。是每年的七月七日吧。”说完就这样被冲走了。

 

こうして二人は、年に一回、七月七日の七夕にしか会えなくなったという事です。

于是,他们两个人只能一年一次在七月七日的七夕那天才相会啦。

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